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(2)電子商取引(EC)実現に向けた動き

昨今のわが国経済の低迷、産業空洞化問題による産業の国際競争力の低下等に対処し、今後のわが国経済の持続的発展を図るため、国内の経済・社会構造および行政の抜本的改革が急務となっている。こうした中で、あらゆる経済活動の分野における高度な電子情報技術の導入と効率的活用が極めて重要であり、これには様々な業種・業態に応じた電子商取引(EC)社会の実現を欠かすことができないとの認識が高まっている。

わが国では、産業分野の高度情報化を実現するため、まず企業間の電子データ交換としてEDIへの取り組みが始まり、その後アメリカで誕生したCALSへのわが国の対応、そしてこれらを統合する形でのECの推進へと展開してきた。

?@ EDI(Electronic Data Interchange)

EDIは、販売や調達などのプロセスにおける企業間のデータ交換を行うのに必要なメッセージフォーマット、データコードなどの表現形式(ビジネスプロトコル)や、メッセージを通信回線で送るための伝送方式(通信プロトコル)を標準化し、事務処理に要する時間やコストの短縮・削減を図ることを目的としたもので、「電子データ交換」とも呼ばれる。わが国では、これまで全銀手順(金融)、J手順(標準伝送制御手順)(流通業)等業界毎にプロトコルの標準化が実施されてきた。しかし、1991年に(財)日本情報処理開発協会(JIPDEC)産業情報化推進センター(CII)が、国内標準として「CII標準」を制定した結果、現在では、電子機械、電気、物流等13業種約1,900社がこれを採用している。

国際的には、国連が標準化作業を進めており、1987年には国連欧州経済委員会が国際標準規格としてEDIFACTを策定した。ISOとも連携し、EDIFACTの一部がISOの国際規格になっていることもあって、わが国でも通商産業省では流通業界の標準化としてこれを採用することになった。こうした世界的な動きもあって、国際取引に関わる各業界がEDIFACTを採用する動きも出てきている。

EDIは、ECにおける特定企業間の継続的な取引形態の実現手段として、今後も普及していくものと予測されるが、将来的にはインターネットと融合し、一般消費者や不特定企業とのオープンEDIへと発展していくものと予想される。

?A CALS(Commerce At Light Speed)

CALSは、1980年代半ばにアメリカ国防総省が兵器調達のスピードアップおよびコスト削減を目的に、防衛産業各社の情報を一元的に管理するとともに、設計図から

 

 

 

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